「エネルギーを巡らせ、愛情で育てろ」、マイニングから始めたビットコインとの出会い──ボビー・オロゴンが語る投資の本質とクリプトの可能性【暗号資産投資家を訪ねてVol.1】 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)

「エネルギーを巡らせ、愛情で育てろ」、マイニングから始めたビットコインとの出会い──ボビー・オロゴンが語る投資の本質とクリプトの可能性【暗号資産投資家を訪ねてVol.1】

投資とは「生きる喜びそのもの」

そう語るのは、タレント、格闘家、そして投資家としても活躍するボビー・オロゴン氏だ。ビットコインの黎明期だった2010年頃から暗号資産に目をつけ、長年にわたって金や不動産などと組み合わせながら投資を続けてきた。彼にとって投資とは、単なるお金儲けではない。人生の喜びを得る手段であり、自らの人生観と切っても切り離せない存在だという。

暗号資産(仮想通貨)は今や「特別な存在」ではなくなり、株式や不動産といった伝統資産と垣根なく組み合わされる時代に入った。

こうした時代変化を背景にCoinDesk JAPANでは、各界で活躍する投資家たちが投資に何を求め、暗号資産をどう位置づけているのかに迫る企画をスタート。初回は「芸能界最強の投資家」とも称されるボビー・オロゴン氏に投資哲学と暗号資産との出会いについて聞いた。

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ボビーオロゴンナイジェリア出身のタレント、実業家。2001年にTBS系バラエティ番組「さんまのSUPERからくりTV」で人気を博し、格闘家としても活躍。その後、外国人タレントとして数々のテレビ番組に出演し、ユニークなキャラクターで人気を集める。一方で、長年にわたり株式や不動産のほか、近年では暗号資産投資も手掛けるなど、投資家としての一面も持つ。

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初めは貯金派、最初の投資はハムスター

ボビー氏の投資への関心は、ナイジェリアでの幼少期にまで遡る。

「父の影響が大きかったね。もともと父は公務員だったけど、辞めて貿易の仕事を始めたんだ。当時は、父が各地で仕入れたビジネスの話をしてくれるのが楽しかった」

とはいえ、意外にもボビー氏はもともと「貯金派」だったという。

「僕は楽しみを最後に取っておきたいタイプ。新しい服を買ってもらっても、後で着ようと取っておいた。でも兄貴が全部着ちゃうんだ。お金も貯めておいても、いつの間にか兄貴が使ってた」

「『老後ために』という言葉を日本ではよく聞くけど、うちの兄貴みたいな人が世界中どこにでもいるからね(笑)。だから僕は、お金を取られないためにはどうすればいいかを考えた。そこでハムスターの飼育を始めたんだ」

ボビー氏にとって最初の投資はハムスターだった。貯金を使って雄雌のハムスターを飼い始めたが、わずか3ヶ月足らずで6匹の子どもが生まれた。それを売ると、購入時の10倍の値段になったという。この時、ボビー少年は「利回り」という概念を学んだ。

「お金がハムスターに変わった瞬間、兄貴は全く興味を示さなくなった(笑)。それで思った。お金はそのまま持っているより、増えるものに変えたほうがいいって」

これがボビー氏にとって初めての「投資の成功体験」となり、以降は投資の面白さにのめり込んだ。ハムスターの次はウサギ、ニワトリ、ヤギ、ウシと飼育する対象を広げていく。

「ウサギの方が利回りが良かったね。でもウサギは臭いがきついから外に出していたら、逃げちゃって。そのあと猫に食べられた(笑)」

3勝で十分、ニワトリを飼え?

飼育を通じた成功と失敗の繰り返しのなかで、ボビー氏は「投資はすべてが成功するわけではない」という哲学も学んだ。

「投資は全部勝てなくていい。5回やって、3勝すれば十分なんだよ。そうすれば僕の勝ち」

話を聞いていて、ナイジェリアの原風景が浮かんだ。限られた資源と向き合い、命を育てながら「増やす」ことの本質を少年時代に掴んでいたのだ。

ボビー氏はナイジェリアで、「適正価格を知る力」も身につけた。ウサギでもニワトリでも、市場で売るときにはその時々の「相場感」が重要となる。数字だけでなく、市場での売買を通じて体感したことが彼の投資の原点にあるようだ。

「最近は、ニワトリを飼えない人は投資ができないって言ってるんだ」

ボビー氏が最近よく言っている言葉だという。卵を孵化させ、ヒヨコが育つまで手間暇かけて向き合う。「買って終わり」ではなく、育てる愛情が必要だというボビー氏の言葉は、すべての投資に通じる教訓と言えるだろう。

「自分の地域のことを考えられない人は投資に結び付けることができないよ。要は、相手のことを考えられない人は投資に向いていないんじゃないかと思うよ」

水、風、太陽…投資はエネルギーの循環

ボビー氏は22歳ごろ、貿易商の父とともに来日した。

「もう35年くらい前になるけど、『この国にはチャンスがある』と直感したよ。それは今も変わらない。ただ、今の若い人たちはチャンスの掴み方を知らないのかもしれないね」

ボビー氏は、バブル期の1980年代後半から90年代初頭よりも現在の方が市場にお金があると指摘する。

「当時の日経平均株価は3万8000円がピークだったけど、去年は史上初の4万円台を超えた。市場にお金はあるんだから、あとは掴み方を覚えればいいんだよ」

では、ボビー氏はいかにして投資でチャンスを掴んできたのか。

「世の中は、水と風と太陽。この3つで成り立っている。これがなければ世界は回らないんだ」

ボビー氏は独特の言い回しで投資哲学を語った。エネルギーの循環によって成り立つ世界で、今、何が、どのエリアで必要とされているかを見極めれば投資は難しくないという考えだという。この哲学に基づき、ボビー氏は投資判断の基本として、世界をアメリカ、ヨーロッパ、日本、新興国の4ブロックに分け、それぞれの市場動向を見極めながら資産を分散する「世界四分割投資法」を掲げている。

「エネルギーは絶えず巡回しているから、世界は必ずシフトする。どこかがピークを迎えれば、別の場所の価値が上がり始める。ドバイの街並みとかすごいよ。だいたい12年周期で交代してきたけど、AI(人工知能)の時代になってサイクルがもっと早まってくるだろうね」

FXから暗号資産へ、1BTCは50円

ボビー氏が暗号資産に出会ったのは2010年頃、まだビットコインが広く知られる前だった。株式、不動産、FX(外国為替証拠金取引)など、時代の変化に合わせて投資対象を広げてきたボビー氏は、FXをきっかけにビットコインやブロックチェーン技術の存在を知る。

「当時はマイニングもしていたよ。仮想通貨とか暗号資産って言うけど、これも元はと言えば『エネルギー』でしょ?」

暗号資産市場の黎明期は、レバレッジ取引やボラティリティに慣れたFX投資家の参入が目立った時期だ。ボビー氏もその一人だったが、「マイニングしていても、これ本当にお金になるのかと思っていた」と本音を漏らす。当時、1BTCはわずか50円ほど。1BTCが1万円まで上昇した際には手をたたいて喜んだという。

売却したか尋ねると、「それは売るダロ」と一蹴された。

考えてみれば、ビットコインが100万円を超えたのは2017年後半で、ほんの8年前のことだ。ただマイニングを続けるうちに、ビットコインを支えるブロックチェーンの分散性や基軸通貨を脅かす可能性にも気づき始めたという。

「最初はゲーム感覚だったけど、次の時代はこれだと思った」

その直感は正しかった。「仮想通貨元年」と呼ばれた2017年を経て、2025年7月14日には1BTCが12万ドル(約1775万円、1ドル148円換算)を突破し、史上最高値を更新した。実に、ボビー氏が出会った当時から現在のビットコイン価格は約35万倍になっている。

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資産の15%が暗号資産、ボビー流ヘッジ戦略

中央銀行が全てのお金を管理し、国家破綻や没収があれば「ゼロになる」仕組みに不信感があったというボビー氏。潜在的に不満がある国民は多いからこそ、「暗号資産は次世代につながるんじゃないかな」と続ける。

新しいことにも「とりあえず挑戦してみる」ボビー氏は、ビットコイン以外にもイーサリアム(ETH)やテザー(USDT)、エックスアールピー(XRP)、ソラナ(SOL)などを購入。なかには今でも保有しているコインもあると明かした。

「僕は、ポートフォリオのなかで暗号資産の比率を必ず『15%程度』にしている」

これは、法定通貨の価値毀損に対するヘッジや、市場の変動に対応するための戦略的なツールとして暗号資産を位置づけているからだ。

「今持っているお金の価値は10年後も同じだと思わないでください」と警鐘を鳴らすボビー氏。法定通貨はいくらでも発行できる「プリンティングマネー」であり、経済の膨張とともに貨幣の価値が目減りするのは当然だと述べる。

しかし、ボラティリティが高い暗号資産市場で、ボビー氏が動じずに投資を続けているのはなぜだろうか。

「世界経済は常に変動し、市場は必ず上下する。だからこそ、自分はショート(売り)で攻めるのか、ロング(買い)で構えるのかをポリシーとして決めておくことが大事だね。自分のスタンスを決めておかないと、市場の変動に振り回されるだけだから」

さらに、「相場の節目を見極める視点も大切」と続け、ブロックチェーンのルール変更に伴い、通貨が分裂するハードフォークの前後などには注意していると述べた。

「世の中すべてイリュージョン(錯覚)だから。仕組みを理解し、自分のポリシーを持ってやれば損はしない」

「今すぐ動け、今なんだよ」

最後に、投資に興味を持ち始めた人や、これから挑戦しようとする人へのメッセージを聞いた。

「興味を持った時が始め時だよ。歳を取ってから『やればよかった』って思ったら遅い。僕は6歳から投資を始めたからここまで来れた。今すぐ動け、今なんだよ」

もっとも、ボビー氏もこれまで順風満帆だったわけではない。来日当初、パチンコで全財産を失う苦い経験もした。FXに熱中した時期は、アメリカ、日本、ヨーロッパと市場の時差に合わせて取引し、気を張りすぎて夜も眠れなかったという。そうした経験を重ねるなかで、次第に「免疫」ができ、相場の上下に一喜一憂せず、冷静に対処できるようになったと振り返る。

「免疫がついてからの方が勝負に勝つことが増えた。落ち着いて相場を見られるから」

その上で、若い世代にはこんな苦言も漏らす。

「ちょっと大人しすぎるよね。高齢者はお金を持ってるのに、どうやって資産を貯めたのかも聞かない。聞かずに飽きちゃって、気づいたら投資から離れてる」

だからこそ、日々の意識が大事だと語る。

「僕なんかは、その日の気分や状況に合わせて『今日のモード』を作るようにしているよ。なんでもそうだけど、1万時間かければ大丈夫。1日2時間でも3時間でも続けることが大切だよ」

ボビー氏が言う「1万時間の法則」は、イギリス生まれのジャーナリスト、マルコム・グラッドウェルが提唱した「どんな分野でも約1万時間の意図的な練習を積めば一流になれる」とする考え方だ。

一方で、ボビー氏は次の投資にも目を向けている。RWA(現実資産)のトークン化への挑戦もその一つだ。

「海外に行ったら、土地や不動産、その国の事情を必ずリサーチするよ。最近は海外でもビットコインで不動産を買う人が増えてるし、リゾート物件の利用権なんかも暗号資産で支払える時代になってきた」

関連記事:RWA(現実資産)の次の進化が暗号資産の真の強みとなる理由

こうした世界の潮流を受け、「日本も乗り遅れちゃいけない」と強調。国ごとに異なる通貨の種類に縛られず、国境を超えて繋がる時代が来ると予想している。

折しも、国内の暗号資産口座数は今年5月時点で約1240万件と日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が公表しており、日本の総人口の10%に達する。次時代を担う若い世代が投資への一歩を踏み出すためには、まず「動く」ことが何よりも重要なのかもしれない。

投資は実践あるのみ。ボビー氏はそう背中で示し続けるに違いない。

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